『虐殺器官』は日本映画の海外向け表現方法かもしれん

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伊藤某の最後の作品らしいが、誰か知らん。
この映画が上映されるコトは、上映開始日に知ったぐらい、予告編もTVCMも見かけんかった。
ただ、なんか引っかかって、無の状態で観に行った。

 

絵が美しい

ソファーとか、銃口とか、ところどころパースが狂っとった。
途中、知らん顔の人に変わっていた。
とか、アラを探せば出るけど、とにかく「絵」が美しく、引き込まれた。

でね、ストーリーが面白かったかと問われれば、否。 そんなに面白くなかった。
アクションがすごかったかと問われれば、否。 特筆すべきことナシ。
でもさ、有るじゃん「絵」だけで持つ映画って。 『バグダッドカフェ』とか『ロスト・イン・トランスレーション』とか、別に何ってコトないんだけど、コレクションしたくなるような作品ってさ。 コレクションしたところで観ないんだけどさ。
音出さないで、映像だけ写すって、あの古代バブル時代に選ばれるような映像がさ。
そんな感じかなぁ。 とにかく「絵」が美しい。


セリフが多い

しゃべっとるコトは、何言っとるんか分からんかった。

正確には、発っせられているセリフの表面は聞こえているんやけど、その言葉の裏とか奥まで理解できんまま、次の言葉が発せられて、追いつくのに必死やった。
そんだけ、セリフが多い作品やった。
動きが多くなると、モーションキャプチャーが増え過ぎるんで、作業量が増えて、予算が大変になるとか、そんな計算も有ったんか知らんけど、ずっと言葉を追いかけていたもんだから、観終わった後は頭がポカ~ンとなってしもた。

てか、あの人から発せられる言葉をちゃんと聞いていたら、観ているコッチが洗脳されてしまうんじゃないかと、不安になったんよ。
言葉の意味を考えると、罠にハマるんじゃないかという懸念が有ったんよね。


世界市場向けの実写映画としての光明

なんだか褒めとるんか、けなしとるんか分からん感じやけど、オレは、日本映画は、『虐殺器官』のスタイルが正解なんやないかと思ったんよね。 海外市場を相手にできる日本の実写映画の光明を見た感じやったんよね。

実写じゃないけど、リアリティーを持った画面。 ほぼ実写。

虐殺器官』は、その名のとおり、“虐殺”するんで、屍になるシーンが有るんやけど、実写じゃいろいろ厳しいけど、アニメ表現になった為に、人間のお肉が舞い散るシーンも、しゃぶしゃぶ食べながらでも観られるわな。


本作は、R15+指定。
たぶん、劇中、撃たれ殺される対象が15歳未満やから、気遣いで指定したと思うんやけど、マーケット的に、レイティングで客を絞ると、不利な気もするけどさ、映画館からガキが居なくなって、空気良くなるし、テレビの地上波でも放送される可能性低くなると、視聴経験者が減るので、少しマニアックになって嬉しい。
ゴム製の海賊が出て来るアニメとか、めいちゃ~んと叫ぶ婆さんが出て来るアニメとか、もうイチイチ語りたくないもんね。


話戻って…
日本の実写映画って、イマイチしょぼいけど、アニメ化するコトで、ショボさが無くなるじゃんよ。
映したくないモノは、描かなきゃいいワケやし。
高温多湿の国で、雨が原因で撮影が順延されるコトもなけりゃ、逆にわざとらしい雨を降らす必要もないし。

テレビ局がよく作るタイプの映画に、マンガを実写化したパターン有るじゃん。
デスノート』とか、『20世紀少年』とかって、わざわざ作品のクオリティーダウンしてまで、実写化しなきゃいかんかったのか理解できん。
逆よ。逆。
例えば、是枝裕和の『海街diary』って、日本アカデミー賞最優秀作品賞したけど、あのままでいいから、スキャニングして、実写に近いアニメにしたら、世界中にもっとウケていたと思うんよね。(原作が漫画やったというコトを無視して言うとります)

希望するシーンの変更としては… 最初のシーンの長澤まさみは、前夜から描き、すずちゃんの風呂上がりは、庭側からのアングルに変えて、綾瀬はるかのアゴは削るなど注文はあるけどね。


成功しとるのが、細田守の『時をかける少女』よ。
あれ実写やったらあんなにウケんかったと思うんよ。
大林宣彦角川春樹谷口正晃の悪口はこの辺りにしておく。)


ってコトで、『虐殺器官』ぐらいリアリティーの有るアニメで、実写映画を置き換えるコトで、日本映画は世界をマーケットにできると思うんよ。

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