「中華イヤホン」は悪口ではない

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カメラの世界には「レンズ沼」が有り、ヘッドホンの世界にも「沼」が存在するという…

ヘッドホンのカテゴリーを価格コムの掲載商品を見ると、150円以下のモノから、720万円まで有る。
720万円有れば車が買えるし、アイダ設計だったら家も建てられそうな値段だ。
しかし、次に高いヘッドホンは ケタが減るので、720万円は格付け的な価格付けだとは思う。
ゼンハイザーの5万円のヘッドホンを買うコトへの抵抗力を減らす為の仕掛けだと思う。

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価格コムの20万円ぐらいのヘッドホンには、複数のレビューが載っているので、好きな人には20万円ぐらいは払えるというのがヘッドホンの世界かもしれない。


しかし、金に糸目を付けるタイプのオレには1万円の壁が有る。
ヘッドホンに1万円を出すコトは勇気がいる。
1,000円のランチを食べて、数時間後に排出する(数時間で千円が消えてしまう)コトを10日繰り返すコトを考えると、大したことないような気もするが、やはり1万円の壁が有る。


外出時に音楽を聞く為のイヤホンは、概ね5,000円以内のモノを年に数本買う。

ブルートゥースのモノが、コードが絡まず、スッキリしているのは重々承知だけど、充電が切れると存在意義が無く、「この!役立たずが!」と駅のゴミ箱に捨てたくなるし、安物買いのせいか、数日で「power on」と「connective」の二言しか喋らな女の人の声が聞こえなくなったりするので、最近はコード付きのモノばかり買っている。


持ち歩く時は、ケースなどに入れず、カバンに放り込んでいるので、ケーブルが絡むし、カバンの埃も付く。

何れにせよ管理が悪いので、数ヶ月で断線したりしてお役目御免となり、1年に数本ゴミ箱行きとなる。
イヤホンは完全に消耗品だと思う。

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…とそんな使い捨てのイヤホンに、最近、少し派手な形の商品を見かけるようになった。

「BA」と略される「バランスド・アーマチュア型」のドライバーユニットを複数搭載したモノや、「DD」と略される「ダイナミック・ドライバー型」ユニットを複数搭載したモノ、そして、BAとDDを混載したハイブリッドモデルだ。

見た目は、普及している DD型 単体搭載のモノより、大きく、形が有機的だったり、ロボット的だったりする。
また、昨今、「完全ワイヤレスイヤホン」と呼ばれるBluetoothの左右独立タイプを使っている人も多いけど、あれはBluetoothユニットやバッテリーが大きいだけで、意味が違う。

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簡単に言うと、一般的なヘッドホンやイヤホンはDD型で、DD型は音域が広い。
一方、BA型は再生音域は狭い。

昨今一部で流行りの少し派手な形のイヤホンは、再生音域が異なるBA型ドライバーを複数組み合わせるか、BA型とDD型を併設するコトによって、幅広い音域を確保しているものだ。

www.audio-technica.co.jp

 

KZ社の製品が火付け役みたいなのだが、これまたおかしいのが自ら「中華イヤホン」と名乗るのだ。
工業製品において「中華」は褒め言葉ではない。
安かろう悪かろうの代名詞なので、最初見た時は、会社自ら「我々が売っているのは中国製の製品だぞ。分かっているよな? そこらへんを理解してから買えよ。」と注意書きとして付記したのか?とおかしかった。
が、
「中華イヤホン」は一つの文化として成立している言葉だった。

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ドイツ Campfire Audio社の ANDROMEDA には、13.5万円のプライスタグが付いている。
一方、KZ社の ZS7は、0.6万円のプライスタグが付いている。
2桁違う。


オレは、DDのみからBAのみまで、KZ社をメインに、ドライバーユニット数の違いの製品を買ってみた。
全部で2万円ぐらいだったと思う。

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仕様に関して、BA搭載数と、インピーダンス値からは、CF社の ANDROMEDA とKZ社の AS10 は近いが、周波数特性のレンジは AS10 が劣る。
周波数特性だけで見ると、Yinyoo社の TRN V10 や、KZ社の ZS7 の方が、CA社の ANDROMEDA より優れる。
メーカー公表の数値がどれだけアテになるか不明だし、数値が良ければ音が良いワケではないコトは重々承知だが、横目で見てしまう。


人間の可聴域は20~20,000Hzで、歳を取ると10,000Hz以上の音が聞こえなくなるらしい。
上の表の製品ならば、どれでも再生周波数の上限値は全部満たされているコトになる。

余談ながら、ハイレゾ対応をうたえるイヤホンの基準が40,000Hz以上の再生能力を満たしていないといけないらしいが、もう聞こえないじゃん!?と思ってしまう。
更に余談ながら、YouTubeの音は16,000Hz以上はカットされている(出ていない)らしいので、音にこだわる人はYouTubeでなく、ちゃんとソフトを買った方が良い。

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閑話休題
これら中華イヤホンを買ってから知ったのだが、これらは、エージングが必要で、エージングにより本来の音が出るようになるらしい。

エージングは、車で言うところの「慣らし運転」のコトで、ピンクノイズ(直訳:いやらしい雑音)を100時間鳴らしたりするらしい。

最初は、工業製品のクセに?と思った。
買った時は完成品ではないというコト?
が、ヘッドホンやイヤホン、スピーカーの世界では、当たり前~当たり前~当たり前体操~らしい。

エージングしてから売れよ。と思った。

ただ、今回買った製品の一つは、明らかに最初着けた時は低音が出ず、シャリシャリ鳴っているだけだったが、少し経つと、低音も聞こえ出したので、こういうコトが全音域に言えるのか?と思った。

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さて、コストパフォマンスが良い多ドライバーが売りの「中華イヤホン」の特色は…
音の解像度が高い。
構成されている楽器がちゃんと分離されて聞こえる。
イメージで書くと下図のような感じで、ぽわぽわしていた音がハッキリして来る。
逆に言うと、スリーピースバンドなどの音は、隙間が空くというか、スカスカになったりする。

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だから演奏を耳コピする人などには、音が取りやすいだろうし、オーケストラ的な重厚な音楽では、それまで聞こえてなかった音に気づくコトもある。
と、いいこともあるけど、各ドライバーのバランスによっては、ボーカルが奥に引っ込んでしまったりして、曲のイメージが変わってしまって、こんなもん聞いてられるか!!と合わないモノも出てくる。


そんなワケで、なかなか面白かったし、いい買い物だったけど、これらの多ドライバーの製品はリケーブルといって、ケーブルを変えて楽しめるせいか知らんが、ケーブルが絡みやすく、耳に入れるまでの作業に時間を取られて面倒なので、結果的に以前から使っているケーブルがスキッとしたイヤホンを使うコトが多い。

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★ギターのストロークが良く聞こえるスリーピースバンドの例


SHISHAMO「明日も」

 

★イヤホンによって、音がチープになるスリーピースバンドの例


八十八ヶ所巡礼「仏滅トリシュナー」


八十八ヶ所巡礼/金土日 

 

★随分風体が変わってしまったスリーピースバンドの例


人間椅子「宇宙からの色」(NINGEN ISU 「The Colour out of Space」)

 


人間椅子 針の山(イカ天バージョン)