映画『夜は短し歩けよ乙女』の公開を前に
村上春樹の新作が出たとかで、ボジョレーヌーボーの如く、深夜0時に発売した本屋の映像を見た。
オレは、『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』までは好きだけど、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』以降は、なんだかピンと来てなくて熱中には程遠い。
今回の深夜0時に集まったハルキスト?も、ノーベル文学賞の時期に集まるハルキストも気持ち悪い。
どこぞの宗教の信者のように見える。
村上春樹は、平成の大川隆法とならなければよいが、ハルキストは、ほぼババアとジジイなので、残りの人生なんぞどうにでもなるがよい。 それより、村上龍はドコ行った?
そんな信者を持つ村上春樹だが、数作映画化されているけど、よい評判を聞いたコトがない。 少なくともオレは1本も観ていない。
『珍遊記』の松山ケンイチは観たが、『ノルウェイの森』の松山ケンイチは観ていない。 食指が動かない。
村上春樹作品は、オリジナルの文章が最高峰で、映像化には向いてないのかもしれない。
そもそも、小説読者のイメージに勝る映像化なんぞ、アリえないけどね。
さて、一方、森見登美彦。
オレは、『夜は短し歩けよ乙女』が平積みされていた時、その表紙に惹かれて購入。いわゆる“ジャケ買い”。
読めない漢字や、分からない言葉の意味など有ったけど、ジェットコースターのスピードで、読み通した記憶がある。
文章一見複雑なれど、オモチロイ。オモチロイ。
夢か現実か? 分からんけど良い。と読了。
数年後、『四畳半神話大系』がアニメ化。
最初は「むむむ」とオレの持ったイメージとアニメの絵柄の差異に唸ったが、1話見終わる頃には「良し」となり、黒髪の乙女を「美しい」と思った。
更に数年後、『有頂天家族』がアニメ化された。
『四畳半神話大系』とは全く異なる絵柄。
なんとも登場人物(登場狸)が「可愛らしい」。 風景が「美しい」。 弁天が「美人」!と好きになった。
森見登美彦作品は、京都+ドジな男(主人公)+美しい女性+だるま+天狗+電気ブラン(偽の方)の組み合わせエピソードであるが、アニメになると絵柄の違いでイメージが全く異なる。
ただ台詞回しは、森見登美彦のソレなので、同じ原作者だと分かる。
結果、森見登美彦作品は、映像化に向いている。
村上春樹と違って、動きが有るもんなぁ。
『逃げるは恥だが役に立つ』のキャストで、『夜は短し歩けよ乙女』の実写化はアリかもしれんな。
というコトで、星野源がセリフを当てている映画『夜は短し歩けよ乙女』だが、絵柄は、『四畳半神話大系』の方だ。
まあ、それはそうだろう。「たぬきシリーズ」ではない。
しかし、あの話を全部詰め込むのは無理があろう。ドコがカットされ、あのシーンはどんなアングルで描かれるのか、アニメ『四畳半神話大系』のパターンからイメージするのも楽しいが、自分が映像化するならば、絵コンテを書いて、森見登美彦に見せて、こんな感じやと思ったんですけど合ってなすかね?とイチイチ確認しながら作らないと不安やわ。
と考えると、監督って大変やね。
さて、あのスカスカのシンプルな絵を映画館の大画面で観る意味があるのか一抹の不安は有るけれど、今年の楽しみな映画の一つではある。